人間の子供は、まるくてやわらかそうなものが好きです。ディ●ニーやアンパ●マンもまるい。売れるわけですね。次に扇風機の羽をイメージしてみてください。清涼感を感じる青を思い浮かべますね。しかし、中東へ輸出するものは青を避けるそうですよ。あちらでは太陽が照りつける空の青は灼熱の象徴になってしまうからです。
とりとめのない話でスタートしましたが、今回はぼくらが持つ「感じるモノサシ」についてのお話です。共通感覚として通じるものもあれど、中東の扇風機のように自分のモノサシ以外の見方/考え方に対しては鈍感になってしまいがちです。
なぜ「感じるモノサシ」なのか。多様化が叫ばれる昨今、モノサシのセンスがますます貴重なノウハウになると考えるからです。はじめての価値観と向き合う機会が激増する時代。自分の言葉が伝わっているのか?相手はなぜそう思うのか? そんな感覚への感度は、伝える仕事であるクリエイターの能力を左右するのは間違いありません。普段つい正しいと考えてしまいがちなモノサシについて。少しチェックしてみましょうか。
「絵を入れればわかりやすい?」モノサシ
わかりやすく絵で表現したい。正しいですが、残念ながら万能ではありません。絵がわかりやすいのは、概念がわからないときです。つまり、はじめての経験で、想像力の幅が乏しいときには非常に助けられます。逆に、そうでないときは絵は冗長です。
はじめてケータイを持ったオジサンは、ケータイの使い方を絵解きで知りたいでしょう。ケータイヘビーユーザーのティーンの子達には必要ないでしょう。マンガが好きだから、と絵にすることもありますがモノサシセンスがやや欠け……てますよね。
「単純にすれば見てくれるだろう」モノサシ
普段めんどくさがりやな人が、お目当ての商品をネットで探している姿は面白いものです。びっしり書かれた詳細説明を何時間もかけてむさぼり読みます。
最近、コンテンツの文章量とWebサイトのナビゲーションメニューの数を減らして、アクセスしてもらいやすくしたいという依頼がありました。たしかに眺めやすくはなります。しかし、見たくはなるかは別問題です。
構成のシンプルさんと動機はまた別なのです。この1冊読めば宝くじに当たる、なんて言われれば数百ページの本でも喜んで読むのがぼくたちの性(サガ)です。若い子は本を読まないから…、と嘆く人も多い中、仕事のメールをケータイでチェックする姿を見る度に「そんなことないよ」と感じるものがあります。動機ですね。Webサイトでもコンテンツによる動機づけはもっと話題にあがってよいと感じます。
絵だからわかる、数が少ないからわかる。そういう単純なものではないということです。
経験によりモノサシのセンスを磨く
起業するとき、独立税理士がよいよと先輩達に口々に言われました。もちろん、サラリーマン税理士も独立税理士もスキルはそう変わらないでしょう。しかし、自分で運営していればこそ経験する、苦労することがわかる。共感面を指摘する人が多いのです。では、デザイナーに置き換えて考えるとどうなるか。
自分でモノを売っているデザイナーは、Webで売上を上げたいと思う人が何を期待するか身体で感じ取れるようです。だから、モノを売ることをしないデザイナーとは視点が違ってきます。彼が必要ないと感じる仕事は次第に先細りになってゆきます。
一方で、ビジュアルの腕がずば抜けている訳でもないのに仕事の絶えないクリエイターがいます。彼らから感じることはデザインに対峙する人を共感させるセンスに長けているなぁということ。「売上げ」を軸にしたセンスと別のセンスが磨かれているのです。
お薦め書籍:広告も変わったねえ。
かつて広告業界は花形だった(と過去形にしてはいけない)。変化に柔軟であるべき広告業界も、規模も大きくなり保守化しがち。しかし、保守化と戦わないと。
やさしい対談形式の中に気概を感じる本です。
入院したことのない人に、入院の苦労がわからないように、苦労や欲求に根ざす心理は経験でしか得られない。だからこそ、経験がセンスを磨く大きな糧になるといえましょう。さて、モノサシのセンス見つめ直してみましょうか。
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広告も変わったねぇ。「ぼくと広告批評」と「広告の転形期」についてお話しします。(Amazon)
井浦むつおさんプロフィール
印刷デザイン会社に勤務後、同僚とWeb構築会社「ヒキダス」をスタート。Web担当者の悩みをひきだし、参謀役になれればと願う。Webマーケティングからデザイン、システムまでオールラウンドで引き受け、小さくてもエッジの効いた会社を目指している。
http://www.hikidas.com/
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