2008.07.14

考えるならおわりから

イメージ:考えるならおわりから

じんわり効く、漢方薬系Web談義 ♯19
井浦むつお(ヒキダス)

バックナンバー

仕事の仕方には、二通りあります。やるべきことからかかる人と、好きなことからかかる人。前者はこつこつ伶俐(れいり)に仕事を進め、後者はなにやら楽しそうでストレスなさそうにも感じますね。しかし、これまで様々な人と仕事をしてきましたが、余裕がなくストレスを感じているのは例外なく"好きなことからかかる人"でした。

「そりゃそうだ。仕事はガマンを憶えて楽しまんとな!」と鼻息荒い人もいるかもしれませんが、本質はちょっと違います。

"おわり"からイメージする

未来は現在の積み重ねですが、仕事をスムーズにこなす人は逆に考えます。望ましい未来の姿、つまり"おわり"から現在を割り出します。

オセロを考えてみてください。途中でどんな手を打とうが、最後に詰んだ方が勝つゲームです。何がなんでも隅っこをとる! そんな打ち方をしますか? 詰んだイメージを想定して必要な手を無駄なく打つ。それが勝つ秘訣ですよね。

仕事には目標があります。プレゼンテーションなら案件の獲得ですし、WebShopなら販売数の増加、デザイン賞の受賞も大切な目標でしょう。区切りがついた最後の姿、「望ましい未来」があるはずです。それに対して、いまその瞬間を充実させようというというのが、目の前の好きなことからかかる人。そんな充実した瞬間を持続させるのは難しいから、ストレスも感じるでしょう。

目的と手段の落差

Webデザイナーと歓談していると、クライアントとの悩みも聞きます。しばしばあったのがクライアントさんからこんなことを言われちゃって…というケース。

「お金かけてWebサイトつくってもらったけど、メールの方が売れてるんだよね」

そんなこと言われても。。。と一様に困ったなあ、という顔・顔・顔。というのも、当初のオリエンテーションはこんな感じだったからです。

目的ネット販売を拡大する
手段機能、デザインを考慮した買いやすいWebサイト制作

Webサイト制作は依頼されたことをやったまで。間違っていません。問題は、目的と手段に落差があったことです。クライアントはオリエン時に思いついたこと(Webサイト制作)を書いたのだけど、まだ方法があった(メール配信)。オセロの例で出すならさしずめこんな感じです。

目的オセロで勝つこと                                              
手段隅っこをとること

Web制作の現場では、目的と手段が合致してないと感じるシーンに、多かれ少なかれ遭遇することでしょう。

  • 「デザインは気に入っています。しかし、検索順位が上がらないですね」
→デザインの改善は検索順位のアップに関係するか? ネット販売の拡大にとって検索順位のアップはどれほど重要なのか
  • 「ユーザビリティを改善しました。しかし、アクセス数が上がらないですね」
→使いやすさの改善はアクセス数のアップに関係するか? ネット販売の拡大にとってアクセス数のアップはどれほど重要なのか。

どちらの手段も重要ですが、本当は「どう集めるか」よりも「どう買っていただくか」という手段がより重要かもしれません。とはいえ、後から考えるとクライアントが「あれも重要だった」とか思うことはありがちなこと。そんな風に思われる前に、先んじてつくり手として対処したいものではありますね。

お薦め書籍:「先読み力」で人を動かす

「先読み力」で人を動かす ~リーダーのためのプロアクティブ・マネジメント~クライアントからの急なデザイン変更? それ、事前に防げたかもしれません。コトが起こって慌てるのではなく、先を読んで行動を起こす"プロアクティブ"のすすめ。リーダーでなくとも読んでおきたい一冊。

優秀なクリエイターの頭の使い方

優秀なクリエイターは「あ~、なるほどねえ」と琴線にふれる答えを出してくれます。その秘密はどこにあるのでしょうか。

  • 最後から考える癖 ~逆ストーリー化力~
仕事ぶりをみていると、クライアントからの仕様書を無視しているのでは? と思うことがあります。仕様に従わないアイデアばかり考えて…。しかし、案外できあがると、見違えるほどスムーズに相手を説得できるから不思議。ガヤガヤしていた外野も静かになるものです。彼らは"おわり"からストーリーを描く癖がついています。それは、実際に自分たちだったら何を支持するか連想する力です。
  • 相手の頭に入り込む癖 ~普遍化力~
自分が好きなようにデザインしているようにみえても、まず自己中ではありません。わたしたちの感受性には似ているところも多いものです。ヒットする映画が、見ている人をいつのまにか主人公に変えてしまうように、作品を相手の関心で満たすもの。相手の頭の中に入り込む力に優れているのです。

私たちは、所詮全てを把握できません。限られたデータ・条件・前提からしか考えられないのです。逆ストーリー化と普遍化は考える技術、もはや所作といってもいいでしょう。しかも、これらは練習で身につけられることです。昔はそれほどでもなかったのに、いま会うととてもクリエイティブになっている友人をみると信憑性が増すばかりです。

やるべきことからやるか、好きなことからやるか。練習を積めば、結果的にやるべきことが揃ってくるのかもしれない。そう思いつつ、好きなことからばかりはじめてますが。。。

(ヒキダス 井浦むつお)

関連リンク

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井浦むつおさんプロフィール

印刷デザイン会社に勤務後、同僚とWeb構築会社「ヒキダス」をスタート。Web担当者の悩みをひきだし、参謀役になれればと願う。Webマーケティングからデザイン、システムまでオールラウンドで引き受け、小さくてもエッジの効いた会社を目指している。
http://www.hikidas.com/

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