2008.11.28
「面白法人カヤックが語る制作会社のお仕事とAdobe AIR最新事例と制作実演」レポート

11月18日、渋谷で行われたロクナナワークショップ主催のセミナーイベントの様子をお届け。
このイベントは、「Flashの学校」ロクナナワークショップが主催するWebクリエイター向けセミナーイベントの第1回として開催された。ゲストに面白法人カヤックを迎え、「面白法人カヤックが語る制作会社のお仕事とAdobe AIR最新事例と制作実演」として11月18日に渋谷で行われ、立ち見の観客も出るほどの大盛況。その約半数がFlashユーザーだったようだ。
ロクナナワークショップ(以下、ロクナナ)は、Web業界の第一線で活躍する講師陣によるFlashを中心としたハンズオンのトレーニングを開催していることで知られている。ちなみに12月2日には、以前withDのマンスリートップイメージを手がけて下さったタロアウトさんのイベントが予定されており、キャラクターデザインに関心のある人には興味深い内容になりそうだ。

左よりロクナナの大重氏、カヤックの瀬尾氏・鈴木氏
さて、withDの読者なら「面白法人カヤック」という社名をご存じの方も多いのではないだろうか。今年で創業10年となる同社の多岐にわたる活動の中から、FlashとAdobe AIR(以下、AIR)を使ったクリエイティブにスポットを当てたのが、今回のイベントだ。
ロクナナのオーガナイザー大重美幸さんが、カヤックのディレクター鈴木啓央さん、Flash開発担当の瀬尾浩二郎さんに質問を投げかけながら、第1部では同社の事業内容の説明、第2部ではカヤック流のAIRコンテンツ作成法が解説され、第3部ではCS4を使ってAIR1.5のプログラムを書くライブ・コーディングが行われた。このイベントレポートでは、第2部の内容から2つのプロジェクトを紹介したい。
2008年度グッドデザイン賞を受賞した産学協同のプロジェクト「閃光会議室」
閃光会議室(YouTube)
カヤックの鎌倉本社3階にある「閃光会議室」は、「クリエイティブを誘発する会議室」というテーマの下、慶應義塾大学稲蔭研究所のSurroundings Projectとの産学協同であるNew Office Projectの一環から生まれ、2008年度のグッドデザイン賞を受賞している。
この会議室には2つの仕掛けが施されている。1つは「空山水」と呼ばれるもので、LEDの照明をソフトウェアで制御することによって空間の色彩を自由に変え、人の想像力を喚起する仕組み。このLED調光用ソフトウェアのインターフェイスをAIRでつくっているとのこと。もう1つの仕掛けは、「かげろい」と呼ばれるシステムで、会議参加者の発話キーワードを音声認識で抽出し、ウェブ検索で得た関連情報をテーブルに表示させるというものだ。
AIRで開発する利点としては、下記のメリットがあるという。
- OSに依存しない
- ビジュアルの扱いに強い
- 実装が比較的簡単
- シームレスなWebとの連携が可能
- ローカルの情報にもアクセスできる
最近はビルの壁面や飲食店などでも色が変化するLED照明を見かけることがあるが、オフィスにこうした仕掛けを施すという発想がユニークだ。色彩が人間の意識や感情に与える影響は少なくないと言われているが、「こんな議題の時にはこんな色の組み合わせだと上手くいく可能性が高い」といったデータベースが蓄積されていくと、さらに面白いことになりそう。
ブログを書く植物?「今日の緑さん」

仕事が楽しくて仕方がない、そんな様子が伝わってくる二人のお話でした
withDでも右側のサイドバーの一番下にブログパーツを貼っている、「今日の緑さん」。そもそもの発端は、「植物をもっと楽しめる機械やツールをつくってみたい」ということだったそうで、慶応大学湘南藤沢キャンパス・田中浩也研究室、栗林賢氏の「植物インターフェース」の研究を基にアイデアを考えていたのだという。喋らないのが当たり前の植物にブログを書かせるというアイデアと、それを支える先端技術との組み合わせがとてもユーモラスだ。
「植物インターフェース」とは植物の表面電位を計測し、音声に変換・出力するデバイスと繋がっているシステムで、ここにもAIRが使われているそう。UIや装置を動かすソフトウェアとして扱いやすく、画像処理が得意なのでWebサービスとの連携も得意な上、.NETやCocoaよりも実装が簡単だというのも嬉しいところ。
「今日の緑さん」の場合、植物がブログを書くというアイデアに留まらず、カヤックが運営する「どんぶりカフェbowls」で実際に本物を見ることができ、記念写真を撮ったり占いをしたりといったリアルなコミュニケーションも可能だ。日常にある何でもないものに、もっと目を向けてみるべきかもしれない、と感じさせるプロジェクトである。
「つくらない人をつくる人にする」サービスを多数展開
ディレクターの鈴木さんが第1部で語っていたカヤックの経営理念の話の中の、「つくらない人をつくる人にするサービスを展開しているんです」という言葉が印象的だった。Webサービスを一部の人のものではなく、幅広い人たちに楽しんでもらいたいという志が感じられたからだ。
普通の人が毎日を少しでも楽しくするためのアイデアや、自分たちが面白いと思うことをどんどんやっていこうという同社の姿勢が、多くの人の共感を呼ぶ大きな理由なのだろう。

イベントに集まった人たちは、カヤックの二人の話に熱心に聞き入っていた
そんな面白法人カヤックの新刊案内!
最後に、カヤックの12月1日発売の最新刊をご紹介。面白いサイトを作る教科書ウェブで一発当てる方法 スマッシュコンテンツ成功の法則だ。面白法人カヤック流のアイデア発想法から制作フロー、サービスの収益化・運営に至るまでを分かりやすく解説している。「今日の緑さん」についても瀬尾さんが詳しく語っているので、興味を持った方は是非手に取ってみて欲しい。
関連リンク
ロクナナワークショップ
イベント「面白法人カヤックが語る制作会社のお仕事とAdobe AIR最新事例と制作実演」(ロクナナワークショップ)
マンスリートップイメージ 2008年7月 taroaut/タロアウト
イベント「キャラクタークリエイター タロアウトの仕事 〜Dior ゴルメットちゃん誕生の秘話〜」(ロクナナワークショップ)
面白法人カヤック
Adobe AIR
大重美幸(ロクナナワークショップ)
鈴木啓央(面白法人カヤック)
瀬尾浩二郎(面白法人カヤック)
閃光会議室(面白法人カヤック)
2008年度グッドデザイン賞受賞ページ(面白法人カヤック×慶應義塾大学 稲蔭正彦研究室 サラウンディングスプロジェクト)
今日の緑さん(面白法人カヤック)
慶応大学・田中浩也研究室
どんぶりカフェbowls(面白法人カヤック)
「ウェブで一発当てる方法 スマッシュコンテンツ成功の法則」(ワークスコーポレーション)
面白いサイトを作る教科書「ウェブで一発当てる方法 スマッシュコンテンツ成功の法則」(面白法人カヤック)
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