2008.07.17

第1回「月刊インタラ塾」レポート

イメージ:第1回「月刊インタラ塾」レポート

7月9日、 Apple Store 銀座にて、一人バンド「Merce Death」で知られる大野真吾さん(Wieden+Kennedy Tokyo)をゲストに行われたイベントの模様をお届け。

月刊インタラ塾」は、印象的な企業サイトやブログパーツの制作で知られるタナカミノルさんが所属するクリエイティブ集団「KURUKURU」の主催で開催されたセミナーイベント。この日が初回でしたが、最終的には立ち見もでる盛況ぶりとなりました。

タナカミノルさん
タナカミノルさん(Pickles)

タナカさんによれば、イベントの企画意図は「Webはインタラクティブだって言うけれど、(実感として)捉えにくい感じがする。具体的に“インタラクティブ”とはどういうことなのかを伝えたかった」からだと言います。はたして、第1回の内容はそんな意図がビンビン伝 わってくる刺激的なものでした。

Cornelius x Merce Death x polo-Really x Google Map x YouTubeができるまで

この日のメインゲスト大野真吾さんは、TYO Interactive DesignでのSONY WalkmanやCASIO G'z One TYPE-R、フマキラーAダブルジェットなどのキャンペーンコンテンツを制作。最近では一人バンド「Merce Death」でのGIGで知られています。

現在は国際的なクリエイティブエージェンシー「Wieden+Kennedy Tokyo」に“デジタル アート ディレクター”として所属している大野さん。そんな大野さんの知名度をぐっと広めたのは、コーネリアスのアルバム「SENSUOUS」のミュージック・ビデオ・コンテストでの最優秀作品「Cornelius x Merce Death x polo-Really x Google Map x YouTube」でしょう。

Cornelius x Merce Death x polo-Really x Google Map x YouTube Cornelius x Merce Death x polo-Really x Google Map x YouTube
Cornelius x Merce Death x polo-Really x Google Map x YouTube

作品は、Googleマップが映し出す3つの地点につけられた○をクリックすると、アルバムに使われているサウンド素材を用いて即興演奏ができるというもの。細分化されるループに合わせてGoogleマップも刻々と変化します。一定の時間が過ぎると3つの地点はともに中目黒に回帰し、いろは寿司の映像で幕を閉じます。

仕事とは全く違う創作の高揚感

大野さんはコンテストへの応募にあたり、古い付き合いのWebデザイナー、polo-Reallyさんにメールでアイデアを相談。3枚のGoogleマップをアーティストが旅をしながら音を奏でるというものだったとか。polo-Reallyさんがアイデアを実装して応え、刺激された大野さんがアイデアを返す…プレゼンテーションではハイテンションな当時のメールのやりとりが紹介されていきます。

Cornelius x Merce Death x polo-Really x Google Map x YouTube Cornelius x Merce Death x polo-Really x Google Map x YouTube
一定時間が過ぎるとカオスに(左)、最後は中目黒にて3人で寿司をつまむ(右)

大野さんは「レスポンスも早いし、クライアント仕事のように確認をとることもない。良いと思ったら、さらに良いアイデアを足していける」と、仕事とは全く違う創作の様子を回想。いま思い出しても、大変に楽しい時間だったそうです。結果は見事に最優秀賞。審査員からは「すべてにおいてセンスがいい」、「リミックスという概念を全く違う発想で表現し、なおかつインタラクティブ性もある」と絶賛のコメントが寄せられたといいます。

自宅から1人WORLD TOUR

セッションの後半は、大野さんの一人バンドである「Merce Death」について。2002年ごろから「未来派ギターサンプリングインプロビゼーションソロユニット」として、ループサンプラーを用いて活動しています。SHIFTで大きく紹介されたので、ご存じの方も多いでしょう。


ロンドン公演(from My Room)の様子(YouTube)

先ごろ、世界各地の公演時間に合わせて大野さんの自宅からライブUSTREAMを使って中継する「WORLD TOUR」が終了したばかり。ツアーTシャツもあるとのことで、いやはや遊びもここまで徹底してやると、すごいですね(笑)。

CANON、誕生のきっかけはYouTube

続いて、楽器を使ったパフォーマンスの別のアプローチ「CANON」の紹介。たまたまYouTubeのビデオ作品「Amateur」に強くインスパイアされたのがきっかけとなったそう。「ミュージックビデオは音楽ありき、逆に映画音楽は映像をもとに組み立てられる。この映像は作曲と演奏と編集の関係がイコールになっている」点に、大野さんは大きく刺激を受けたのだといいます。


Amateur - Lasse Gjertsen(YouTube)

この考え方に影響を受け、素材の動画を組み合わせて演奏していくスタイルを習作しながら確立していったのが、CANONという作品。


CANON by Merce Death(YouTube)

大野さんはフィジカルにこのCANONを実現したいと考え、Max/MSPという映像プログラミング言語を扱うことができるko-hey-heyさんにラフスケッチを送って相談。そうして実現したのが、こちらです。


Real Time Canon Test(YouTube)

ここで会場ではセッティングの時間が設けられ、実際にCANONのパフォーマンスを体験しました。大野さんの風貌もあって(失礼)、滑稽にすら感じられるパフォーマンス。でも、そこには本人曰く「バカなこと(やアイデア)」をいかに真剣に実現するか、また実現するためのプログラマーや実装者とのタッグが共通項として示され、実に興味深いものでした。

Cornelius x Merce Death x polo-Really x Google Map x YouTube
大野さんによる迫真?のパフォーマンスの様子

今後、大野さんがやってみたいこと

まず、個人の活動では、フィジカルな演奏の共有に興味があるのだとか。USTREAMを複数反映した画面に世界各地から参加してもらい、JAMセッションのイベントを実現したいという。「タイムラグがあるので完全な同期は難しい」とのことですが、非常におもしろいアイデアですよね。また、誰にでも楽しんでもらえる楽器として、エレキなカリンバ「エレカリ」も制作中だとか。

一方、仕事の面では「ウェブ業界の人以外にも有名な何か」を生み出すことなのだそう。「家族とかに有名なサイトという前提で話題にしても、知らないことが多い。それって本当に有名ってことなのかな?」と疑問を抱いている、と大野さん。「ウェブはコミュニケーション上欠かせないツールであり、メディア。もっと広げるにはウェブ以外の何かを考えることが大切」とも。

まずは「やってみよう!」というメッセージ

最後に大野さんがスライドで見せたのは「ハングリーであれ。バカであれ」という、おなじみスティーブ・ジョブスのメッセージ。大野さんの仕事や個人制作の作品は、「バカなこと」からストレートで強い魅力が伝わってきます。それでいて、関連する世界観や技術的裏付けが考え抜かれている。深いなーと感じ入りました。ちなみに「by スティーブジョブス & Merce Death」と、勝手にコラボしていました(笑)。

茅原伸幸さんのスライドから むらけんさんのスライドから
茅原伸幸さんのスライドから(左)、むらけんさんのスライドから(右)

イベント冒頭の有志による5分間のショートプレゼンでも、茅原伸幸さんの「自分で手を動かさず作った気になってませんか?」という痛烈な投げかけや、むらけんさんの元美容師からみた「Web業界のオープンな雰囲気」など、共通していたメッセージは図らずも「まずは、やってみようよ」ということ。モノづくりの人にとっては勇気づけられた一夜だったに違いありません。

次回の月刊インタラ塾(無料)

清水幹太さん(株式会社イメージソース/ノングリッド)次回は8月7日、ゲストに「BIG SHADOW」「PRIUS Channel」「REC YOU」などを手がけた、株式会社イメージソース/ノングリッドから清水幹太さんを迎え「清水幹太が語る1クリックへの責任」と題して開催予定。これまた伝説の夜になる予感なので、ぜひ参加を! withDでもレポートを予定しています。

大野さんからのお知らせ

東京.TEN – TOKYO.点Wieden+Kennedy Tokyoによる音楽&映像レーベル「W+K東京LAB」が設立5周年を迎える。

高木正勝氏、HIFANAらが名を連ねる「東京.TEN – TOKYO.点」(DVD+BOOK+BLOG)のリリース、CLASLAでのエキシビジョン(6月27日〜7月27日)7月24日には「TOKYO.TENライヴ」が予定されている。こちらもぜひ!

(withD特派員 渡邉淳矢)

関連リンク

特派員のイベントレポート バックナンバー
月刊インタラ塾
Pickles
KURUKURU
『SENSUOUS』ミュージック・ビデオ・コンテスト
Cornelius x Merce Death x polo-Really x Google Map x YouTube
polo-Really (sorry, i make some noise.)
Merce Death
MERCE DEATH(SHIFT)
World Tour from My Room(Merce Death)
USTREAM
Merce Death World Tour from My Room Tシャツ(ホワイト)
Max/MSP 5
ko-hey-hey
カリンバ(Wikipedia)
株式会社メディア・パルサー
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shiroari.com
W+K東京LAB
Tokyo.Ten

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