2008.08.05

新製品レビュー:FinalFocus3.0

イメージ:新製品レビュー:FinalFocus3.0

Sakurai Optical Lab.
63,000円(8bit/D1版)他

その他のソフトウェア製品

高品質なレンズフォーカス・シミュレーションができるプラグインソフト、FinalFocusの最新版3.0がリリースされた。製品の特徴をおさらいしながら、最新版をレビューする。

FinalFocus3.0
FinalFocus3.0
問い合わせ先Sakurai Optical Lab.
URLhttp://reiji.net/
価格63,000円(8bit/D1版)他

シンプル操作で、超高品質なデジタル合成を実現

FinalFocusはAfter Effects(以下AE)などのプラグインとして機能するソフトだ。基本的な機能にはVer.1.0から3.0まで大きな変更はなく、1.0から.2.0へバージョンアップする際に処理速度が大幅に向上した(5〜50倍)。3.0ではVista、AE CS3 Professionalなど最新の映像制作環境に対応させるためのチューンが行われている。

FinalFocusをまだ使ったことがない方のために、本製品の特徴を紹介しておこう。AEなどのデジタル合成ソフトで「ぼかす」といえばブラーを思い出すが、映像演出で「ぼかす」といえばフォーカスアウトのことを指す。このフォーカスアウトをデジタル合成で表現するには、ブラーエフェクトではなく、光学シミュレーションエフェクトが必要となる。これはレンズブラーと呼ばれることも多く、サードパーティ製のプラグインも数種類販売されている。中でも仕上がりが超高品質で、なおかつ操作が非常に簡単なのがFinalFocusだ。

最も効果が期待できるのは、レイヤーごとのフォーカス送りの表現で、マルチプレーンカメラ(多段アニメーションスタンド)による撮影とほぼ同等の結果を得ることができる。なおレイヤー内のフォーカス送りについては、同じメーカーから発売されているプラグインIrisFilterを使うと良い。

FinalFocusの使い方にはコツがある。AEでの使用を例に取ると、最終のコンポジションを完成させた後、それをFinalFocus用のコンポジションへとブラッシュアップする。具体的にはプリコンポーズ機能を用いて、レイヤーをまとめたりエフェクトやトランスフォームを1つ前のコンポジションへと移動する。レイヤーの数は5〜6くらいにすると良いだろう。

なお加算やスクリーンなどの合成モードを反映させることができないので、これも何らかの技法で対処する(筆者HPを参考されたし)。このように下準備では煩雑な作業が発生するが、FinalFocus自体はシンプルだ。他のレンズブラー系エフェクトはパラメータが多く、試行錯誤を繰り返しても徒労に終わることがある。

  • 前ボケ処理の品質向上
ボケ処理の品質向上1 ボケ処理の品質向上2
※クリックすると図が拡大します。

手前のレイヤーのエッジ処理の改善には特に力を入れているようで、品質が向上している(図A)。マスクのエッジに背景色が残っていると、結果に悪影響が出るので注意が必要だ。特に明るい色が残っていると拡がってしまう。アニメーションの場合エッジがトレス線になるが、この処理には大きな差は見られなかった(図B)。
  • 超高品質な仕上がり

※中央をクリックするとキャプションを表示します。

FinalFocusを適用した画像(図A)、After Effects純正のレンズブラーを適用した画像(図B)を比較すると、前者の方が輝度がはっきりしていて、錯乱円もシャープだ。適用前の画像(図C)。
DVで撮影した映像 フォーカスアウト映像に仕上がる

DVで撮影した映像(図D)もあっという間に超高品質なフォーカスアウト映像に仕上がる(図E)。パラメータの調整が必要なく、すぐに好結果が得られるのもFinalFocusの魅力の1つだ。
  • 合成モードへの対処
スクリーンなどの合成モード 思わしくない合成結果

ガラス写りなどを合成する際、スクリーンなどの合成モードを用いることがあるが(図A)、FinalFocusでは合成モードを直接扱うことができないので、別の方法で合成をする必要がある。そのため時間が掛かったり、結果が思わしくない場合もある(図B)。次回はぜひ対応してもらいたい。
  • レイヤーごとのフォーカス送り

※中央をクリックするとキャプションを表示します。

素材をレイヤーごとに分けてコンポジションを作成し(図A)、適切なマスク処理をしておく(図B)。
FinalFocus3.0 FinalFocus3.0
※クリックすると図が拡大します。

その後、新規平面にFinalFocusを適用する(図C)。エフェクトパネルでセルにレイヤーと距離(0〜255)を割り当て、フォーカス位置(On-Focus Distance)を決めると設定は完了(図D)、完成形は本ページ左上の画像となる。
  • 8bit版と16bit版の違い
FinalFocus3.0
※クリックすると図が拡大します。

FinalFocusには8bit版と16bit版があるが、品質を上げるなら16bit版を選びたい。8bit版+8bit素材(図A)、8bit版+16bit素材(図B)、16bit版+8bit素材(図C)、16bit版+16bit素材(図D)。画像はレベル調整をしてマッハバンドを強調してる。

今回のバージョンアップは内部のブラッシュアップ的要素がメインで、新機能の追加はなくやや落ち着いた感がある。FinalFocusが発売されて5 年になるが、他社製品も徐々に良くなってきているので、良い映像作品が生まれるためにも、開発者のこれからの挑戦に期待している。

この製品レビューは、月刊CGWORLD9月号に掲載されています

第1特集は「アニメーションの本質」、第2特集は「レンダリングの効率化」。その他、特別企画として、映画『ダークナイト』やTVアニメ『ペンギンの問題』をフィーチャーしています。ぜひ、この機会に月刊CGWORLD9月号(Vol.121・2008年7月29日発売)をワークスオンラインブックストアでご用命ください。

(提供:月刊CGWORLD、岩谷和行)

関連リンク

Sakurai Optical Lab.
デジタル合成ワークショップ

このエントリーをブックマークする

このエントリーにトラックバックする

このエントリーのトラックバックURL
http://withd.jp/mt/mt-tb.cgi/2525


GREEインタビュー イマジカデジタルスケープ