2009.06.08
小山泰介さんインタビュー

あらゆる面において、もっと突き詰めていきたい。
withDトップページに掲載されている写真家・小山泰介さんの5点の作品をご覧頂けただろうか? マンスリートップイメージの解説記事にもあるように、この5点のオリジナル作品は全て縦位置のフォーマットで撮影されていて、withDに掲載された作品はその一部を切り取ったものだ。本来はオリジナルの作品をそのまま掲載したかったのだが、こちらの都合で小山さんに作品のトリミングをお願いすることになった。だが結果的に、小山さんの作品が持つ個性は予想以上にはっきりと残っている。
下記のオリジナル作品と見比べてみていただきたい。トリミングされた作品から見えてくるものと、オリジナル作品から見えてくるイメージのズレを楽しめるはずだ。また、ウェブで見る小山さんの作品と、紙に印刷された作品集との発色や質感の違いも見比べてみる価値がある。最新作品集「entropix」をチェックしてみてはいかがだろうか。

左=Untitled (Numerous Shadow) ※「entropix」未収録 右=Untitled (Split Fence)
デジタルカメラとの出会いから写真家の道へ
まず小山さんの経歴について、簡単に紹介しておこう。1978年東京に生まれ、生物学や自然環境について学んだ後、2003年頃に初めてデジタルカメラを手にしたことが大きな転機になったのだという。それまでもフィルムで写真を撮ったり、友達とフリーペーパーをつくっていたが、それはあくまでも趣味の領域で、真剣に写真作家になろうとは全く考えていなかったそうだ。そんな彼がデジタルカメラにどんな面白さを見出したのかについて訊いた。
小山さんの作品は、いくつかのルールに則って撮影されている。「晴れた日に撮影」、「カメラは縦位置」、「トリミングしない」という3点が一番のポイントだ。都市の中に存在する自然現象が撮影する上での大きなテーマになっている。

Untitled (Melt 01 / No Smoking)
個展「entropix」では外側に飾られていた一枚。
この小山さんの言葉は、素人がもっといい写真を撮りたいと思ったときにも役立つヒントになりそうだ。自分が撮影したたくさんの写真の中で、どれが良くてどれが悪いということは誰でもある程度分かると思うのだが、ある写真がなぜいい写真で、ある写真はなぜダメなのかを見極めるのは難しい。それを判断するには自分の中に基準が必要だからだ。どんな基準に則って写真を撮るかによって、その人なりの個性が表れてくるのだろう。
withDのトップページに掲載された「Untitled (Split Fence)」は、洪水後の多摩川で撮影しました。2007年に洪水でホームレスの人たちの家が流されたというニュースがありましたよね。自分はドキュメンタリーの写真家ではないのですが、自分の住む街で起きることについては、常に関心を持っています。
小山さんの作品の面白さは、写っているものが何なのかがはっきり分からないところにある。分からないからこそ、「これは何なのだろう」と想像する楽しみがあるのだ。彼が横位置の写真を撮らない理由は、横位置にすると映画やテレビに近い構図になるため、ストーリー性が生まれやすくなってしまうからだという。小山さんの写真に物語ではなく、詩的な美しさを感じる理由が分かった気がする。
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