2009.04.15

原田幹久さんインタビュー

イメージ:原田幹久さんインタビュー

書家でありモトヤ顧問を務める原田幹久さんに、文字について語ってもらった。

基本的に正方形のなかにおさまるよう作られるフォントと、流麗な書。そのふたつをつなぐ仕事をしているのが、書家であり株式会社モトヤ顧問を務める原田幹久さんだ。

今回のインタビューでは、書とフォントの違い、そして書家の立場から考える、美しく見える文字の構成について原田さんに聞いた。

人の目に優しい文字を目指して

原田幹久さんがフォントベンダーのモトヤの顧問を務めるようになったのは、モトヤの書体デザイナー・故 大本義秀さんと書を通じて出会ったのがきっかけだった。

原田幹久さん
書家でありモトヤ文字制作の顧問を務める原田幹久さん
【原田】大本くんは、昔から筆で文字を書いてきたという流れをふまえなければ、人の目に優しく読みやすい活字は作れないという考えをもっていました。僕自身、活字は読みやすくなければならないが、それには、書の伝統に培われた美しさが必要だということを感じていたので、彼の考えにとても共感する部分が多かったんです。

以来、原田さんは、20年以上にわたり、書家の立場からフォント制作に携わり続けている。

背景を知ることで備わる「品格」

「フォントは万人に受け入れられることをまず考えなければいけない」という原田さん。

【原田】個性は大事だとは思うんですが、あまりにも個性が際立ってしまうと、目が止まってしまいます。派手やかさの美しさというものは、瞬間で終わってしまうものです。だれが見ても読みやすい、見やすい文字を作るには、品格が必要です。

そして品格は、文字の成り立ち、受け継がれてきた時代をふまえることから生まれるのだという。

「モトヤ隷書2・4・6」
原田さんが監修した毛筆書体「モトヤ隷書 2」「モトヤ隷書 4」「モトヤ隷書 6」
「モトヤ隷書」の元字
原田さんが書いた「モトヤ隷書」の元字
【原田】文字には『字源』というものがあります。平仮名の『ま』で、2本の横棒のうち下を長くしているフォントが時々あるんですが、これが僕には許せない。『ま』は『末』という漢字を基にしてできた仮名なんです。字源をイメージしていたら、下を長くはしないはず。書体に個性をもたせたいのならば、文字が生まれた背景は最低限大切にしながら、別のところで個性を出していくことが大事だと思うんですね。
源
たとえば「源」という漢字の字源をたどると・・・

次のページでは、文字を美しく書くために大切なことを語ってもらう。

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