2009.02.16

上杉裕世氏インタビュー

イメージ:上杉裕世氏インタビュー

昨年12月に開催された「Autodesk 3December Tokyo」にて海外からゲストスピーカーとして招かれたILMのマットペインター・上杉裕世氏に話をうかがった。

求められる表現を生み出す逆転の発想

昨年12月に開催された「Autodesk 3DecemberTokyo」にて海外からゲストスピーカーとして招かれたILMのマットペインター・上杉裕世氏。会期中、直接話を伺うことができたので、その模様をここで紹介したい。

上杉裕世氏(Industrial Light&Magic)
上杉裕世氏(Industrial Light&Magic)

プログラムでは現職までに辿り着くまでの自身の半生と、手掛けた作品におけるテクニックが紹介された。特に注目を浴びたのが『スター・ウォーズ』シリーズや『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなどで氏が担当したシーンのメイキング。両作品とも3ds Maxでのカメラマップを活用した背景制作に関するもので、カメラの配置位置や、オブジェクトの分割によるテクスチャ投影のズレの回避法など、非常に実践的なものであった。

しかし、ILMでは自社開発ツールで制作することが基本とされている中、3ds Maxを使用することは稀ではないのか。その問いに対しては、

「もちろん、フローとして自社開発ツールを活用するのが基本となっています。ただ僕が担当するシーンは特異なものであることに加え、ILMでの分業制というのは、手法も含め担当者に一任されていることころにあります。その上で僕自身が担当するシーンを作り上げるために、適した手法、ツールを選択することができるのです」

とのことだ。

数々のビッグプロジェクトに関わりながら、求められる表現を独自の手法で実現する氏に多くの日本のクリエイターが憧れを抱いているが、一方で上杉氏は日本で制作されるVFXを用いた映画作品に対して好意的な印象を持っているとも話す。

「数々の制約から大規模なVFXを作成するのは困難な状況の中、日本ならではの活用術というものが感じられますね。手法に関しても、求められた表現に対して担当アーティストが創意工夫している様は、海外の現場に通じるものがありますよ」

この言葉は、表現を可能にするための逆転の発想とも言える、手法の活用が重要であると示唆していた。複雑なVFX 制作を求められることが常態化した現在、正攻法では実現できないことも多々ある。氏のこれまで担当したシーンにおいても同様であり、その都度、持てる技術をあらゆる角度から検証・活用した結果として、記憶に残るシーンを生み出すことができたわけだ。今後も上杉氏の新たな活躍を通してVFX 制作の真髄を学べることを期待したい。

上杉裕世氏プロフィール

ILMに入社後、マットペインターとして多数の作品に関わり、現在はシニアーマットアーティストとして活躍する。
http://www.ilm.com/

【上杉氏の手掛けた主な作品】
『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』『ゴーストバスターズ2』『ダイ・ハード2』『ジュラシック・パーク』『スター・ウォーズ三部作 特別篇』『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』『インディ・ジョーンズ4』

InformationAutodesk 3December Tokyo
http://www.autodesk.co.jp/
(提供:月刊CGWORLD)

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