2006.01.11
森川的ポートフォリオ整理考 ♯2

キャリアカウンセラーとして日々感じるポートフォリオの効果的なまとめ方について、名古屋的な事情も交えて紹介します。
前回は、「ポートフォリオのまとめ方」について、就業経験の無い人や少ない人にとっての重要性と5つのポイントを紹介しました。今回は、具体的な整理のコツと、どのように役立つのかを見てきましょう。
キミだけに明かす、内定を勝ち取るポートフォリオの作り方
人気7業界のインタビューを掲載し、魅力あふれるポートフォリオを作るためのメソッドをまとめたポートフォリオの教科書が発売されました。内定者のポートフォリオ実例から成功ポイントを抽出し、 効果的で、訴求力のあるポートフォリオを作るためのメソッドを紹介しています。こちらの制作には、本記事を担当した森川弥奈、Webのポートフォリオ解説記事を執筆した中村かおりが執筆協力をしています。
最初に気がつく、レイアウト
作品自体の出来はもちろんとして、アピールしたい作品をいかにクオリティの高いものに見せるかのキーとなるのがレイアウト。自己満足の作品集ではなく、仕事に結びつけるためのポートフォリオにするレイアウトとは、見る人への配慮→「美しさと見やすさ」の考慮を忘れないこと。
作品だけをドカンと掲載するのではなく、タイトルとデザインコンセプトをキャプションで添えるのは基本中の基本。さらに、テキスト情報をただ書き込むのではなく、ページ構成やレイアウトに配慮して情報を配置しましょう。「見やすさ」を意識して何度もレイアウトを検討してみましょう。
レイアウトが決まったら、次は「フォント/飾り/配色/罫線」。自身の作品(デザイン)イメージに合ったフォントと色を選択し、ラインを引いてみるとか、ガイドにアイコンを配してみるなど、細部まで配慮の行き届いたデザインをすることで、グッと作品が引き立ちます。
こんな基本的なことですが、熟考を重ねた形跡が見られる人は少ないですね。フリーランスの方は、それが営業ツールとなり仕事に直結する訳ですから、見栄えのするものや配慮の行き届いたものが多いです。ただ、経験が無い/少ないからといって試行錯誤を止めてしまうと、それまでなんです。無い/少ない人ほど、どうしたら自分の作品が魅力的に演出できるか考えに考えましょう。
「どうレイアウトしたらよいかわからない」という声もよく聞きますが、実例は身の回りにあふれています。市販の雑誌や広告、カタログです。「わからない」人ほど、身近なものに全然目配りができていないのです。とりあえずポートオフォリオづくりを始めるのではなく、レイアウトや構成の参考になるものを見る・探すクセをつけておきましょう。
細かいけれど、気になるセンス
デジタルデザインの場合、黒い線一本からセンスを窺うのは難しいですが、手作業で線を一本描いた場合、そこにセンスは現れます。筆圧の強弱とか、線の太い細いとか、震えとか。それを味とも言いますよね。
デジタルデザインの場合は、線形に出なくとも例えば「黒」の選択にセンスが出ます。K100%(#000000)の墨がいいのか、K70%に設定した深い黒がいいのか。経験から学んだことがセンスとなって現れている例です。
もう一つ例えば、黄金比「1:1.6188033……」について。学校では比率を数値化したものを知識として覚えますが、経験を積めば「5:8」とか「4:6」と経験と感覚で身についていくものです。
「じゃぁ経験の無い私たちにはどうしようもない」と考える未経験の方がいらしゃったとしたら、残念ながらその方はそこまでです。単色以外の黒の設定がある、安定したレイアウトの比率がある、という知識を生かして身の回りの「デザインされたもの」を徹底的に見てください。
最後に実例
かなり東海事情が多く含まれますが、最後に名古屋支店での実例を紹介しておきましょう。首都圏と違って、職種が細かく分業されていない東海地区では、「なんでも出来る人」が求められることが多かったりします。
よって、「アシスタントデザイナー」や「アシスタントディレクター」といった、“アシスタント~”募集が極端に少ない現状です。目指すは、一線を張れる「デザイナー」「ディレクター」となります。
クリエイティブ職歴のない芸術系専門学校既卒の男性の場合
プロダクトデザイン希望の彼が最初に持参したポートフォリオは、学校課題作品をまとめたA4:10枚程。デインの幅は感じられるものの、コンセプトや画力が見えない。作品の情報が不足していました。
職歴がない方でも受け入れ可能な企業は素養を見ます。素養とは、アイデアスケッチやラフデザインなどプロセス部分に出ます。ですので、最終成果物に至るプロセスをスケッチブック6冊分から選りすぐり、見せるアプローチにしました。
第一回の面談後、企業より業務課題をひとついただき、2週間で制作にチャレンジ。こういう課題をいただくようなサポートが受けられるのも、エージェントを活用するメリットかと思います。その男性ですが、手の速さと正確さが評価されて、見事にクリア。プロダクトデザイナーとして就業につながりました。その間実に4ヶ月。興味と憧れで終わらせない、熱意とやる気が実を結んだ例です。
広告デザイン経験を持つ芸術系大学卒の女性の場合
WEBデザイン希望の彼女が最初に持参したポートフォリオは、広告デザイン時代(アートディレクター)の作品をまとめたA3サイズ:20枚。残念ながら、WEBデザインは一切ナシ。
「先ずはWEBスキル修得から」のアドバイスを受け止めていただき、WEBスクールへの入学後、スピード重視でWEBスキルを柔軟に修得し、人脈もあった彼女は勉強を兼ねて、友人・知人から無料でサイト制作を受託。その中から企業の制作事例を、制作過程を含めて3本分ポートフォリオに追加したのです。
サイト納品が終わるのと同時に、WEBデザイナーとしての就業も決定。WEBデザインの事例はもちろん、広告デザインの経験がプラス評価されてのことでした。転職準備期間は半年。自ら動く姿勢と、柔軟にアドバイスを受け入れて下さった姿勢が実を結んだ例です。
いかがでしたでしょうか。ポートフォリオを見たり、話をしてみると、残念ながら時間を十分にかけていないものが多いですね。そして、それは経験が無い/少ない人ほど顕著です。「私は経験が無いから仕方が無い」「学校で教わらなかったから仕方が無い」のでしょうか?この2回のコラムを読んでいただければ答えはおわかりですよね。経験豊富な方に負けないポートフォリオを悩んで考え抜いてください。もちろん私たち人材エージェントもアドバイスさせていただきますので、活用してくださいね。ではまた来月お会いしましょう。
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