こんにちは、宗小判です。
6回目となる今回は、前回に引き続きプレーヤー一体型ヘッドフォンについての話をしたいと思います。前回は、各社からこれまでに発売されたプレーヤー一体型ヘッドフォンを紹介しましたが、その機種を最後に後継機が発表されていません。ブレイクしそうでしないこのスタイルが、世の中に浸透しない理由何なのか? 私なりに分析、提案してみます。
画期的な操作方法
メモリーオーディオの魅力の一つに、「大量の音源を手軽に持ち運べる」ことがあげられます。その上では、すぐに聞きたい音楽をピックアップできる操作しやすいインターフェースデザインが必要になります。しかしながら、プレーヤー一体型のヘッドフォンでは、使用時に操作画面を見ることができません。何か良い提案はないものでしょうか。
画面を使うことができないのであれば、ヘッドフォンらしく『音』そのものをインターフェイスとして使ってみるのはどうでしょう。アーティスト名や曲名を音声で読み上げる機能がついていたり、楽曲の印象的なフレーズだけをピックアップして、イントロ再生なんていうのも良いかもしれません。追求すれば、新しい音楽の検索方法が出来上がりそうです。
ヘッドフォンの画一化
最近では、プレーヤーに付属しているヘッドフォンを使わずに、自分に合ったヘッドフォンを選ぶことが当たり前になってきました。数多くあるヘッドフォンの中から、自分に合ったものを選ぶのは、楽しみでもあります。しかしながら、その選択肢がなくなってしまうことも、プレーヤー一体型ヘッドフォンの弱点になっています。
その弱点をふまえた上で、まずはプレーヤー一体型ヘッドフォンは、誰でも違和感なく装着できるという価値観を浸透させる必要があります。たとえば、以下ような、装着しやすい耳覆い型のヘッドバンドタイプが良いのではないでしょうか。
また、これらのヘッドフォンは、ある程度小型に仕上げられる一方で、かなり高音質にすることもできます。プレーヤー部に必要な電気基板やバッテリー、操作部を搭載することを考えても、丁度良いサイズになりそうです。
プレーヤーとしてのポテンシャルを引き上げる
一見、見逃しがちなところだと思いますが、プレーヤーとして必要になるのが、充電したり、PC等からデータを転送するというシーン。ヘッドフォンを毎日充電したり、PCと接続するのは、なんとなく億劫な気がします。机の上等に、常に置いておかなければならないのも、やや不自然ですよね。
この解決方法として、以下の2点をあげてみます。
- ヘッドフォンの形にしない
- 充電スタンドを兼ねた接続ドックを用意
プレーヤー一体型ヘッドフォンのこれから
今回、改めてプレーヤー一体型ヘッドフォンをみなおしましたが、これまでに発売されたプレーヤー一体型ヘッドフォンは、数あるプレーヤーの一つのスタイルという位置付けで開発されたものがほとんどで、新しいメインストリームとして本気で練られたものがありません。
新しいスタイルや価値観を浸透させるためには、ハードウェア単体の力だけではなく、ソフトウェアや周辺の環境も含めて取り組まなければなりません。
ヘッドフォンの開発は、ある種特殊な領域なところがあり、audio-technica社 や、AKG、SENNHEISER社といった、ヘッドフォン専業メーカーの多くはプレーヤーの開発の経験がなくApple社 をはじめ、PC周辺機器の一環としてプレーヤーを開発してきたメーカーの多くは、ヘッドフォンを開発した経験がありません。
そういった意味では、プレーヤーのシェア争いで苦戦を強いられている、国内の大手総合メーカーにとっては、ヘッドフォンとプレーヤーを一体型にして新しいスタイルや価値観を提供することにより、巻き返しを図る事ができます。メモリーオーディオが完全に一般化したこのタイミングでこそ、是非とも各メーカーに再挑戦して頂きたいものです。
関連リンク
逸品堂 小判 バックナンバー
Triport(BOSE社)
MDR-D777SL(SONY社)
ATH-OR7(audio-technica社)
audio-technica社
AKG
SENNHEISER社
Apple社
宗小判(ソウ コバン)さんプロフィール
大手音響機器メーカーで筐体設計者として商品開発に携わる傍らで、プロダクトデザインの現場に顔を出す日々を送っております。技術者ならではの厳しい眼と、偏った愛着でもって、世に出た製品を分析します。
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