こんにちは、宗小判です。
5回目となる今回は、「プレーヤー一体型ヘッドフォン」について取り上げてみたいと思います。各社がこぞって開発している「プレーヤー一体型ヘッドフォン」ですが、なかなかブレイクしません。ブレイクしない理由は何なのか?またブレイクさせるにはどういう仕掛けが必要なのか、前編、後編と2回に渡ってお話しましょう。
メモリー・オーディオの出現
随分昔のことになりますが、ヘッドフォンだけで音楽が聴けないかと、CDプレーヤーを内蔵したヘッドフォンを考えたことがありました。丁度、パイオニアのループマスターという、中で回転するCDを敢えて見せるというストリートスタイルのポータブルCDが流行った頃のことです。
それから1年程のうちに、世の中にメモリー・オーディオなるものが現れ始めました。PC周辺機器メーカーが続々と参入していた当時に、大手家電メーカーのパナソニックは、SDカードを使用して、プレーヤーをヘッドフォンに内臓した「SV-SD01」の販売を開始しました。

SV-SD01(パナソニック)
B&OのForm-2 を彷彿とさせるデザインと、その小さな筺体の中にプレーヤーが納まっているという事実に、大きな衝撃を受け、当時の私は、"この時代が来る!"と感じましたが、それから8年近く経ったいま、未だに"時代"はやってきてはないようです... ... 。
各社が発売した「プレーヤー内蔵ヘッドホン」
来そうで来ない「プレーヤー一体型ヘッドフォン」ですが、小さな波はありました。最初の波は、パナソニックのヘッドフォンが発売に。その後しばらくの間、大手各社がプレーヤー内蔵のヘッドフォンに取り組みました。
- e-musee(SHARP社)
バッテリーや操作部等、『オモリ』になっている部分を後ろに回すことで、安定した装着性を狙ったSHARP社の製品。しかし、実際にはオモリが揺れた場合には梃子の原理で耳に負担が掛かり、使いにくく、用途上の問題を残しました。

e-musee(SHARP社)
- NW-E8P(SONY社)
SONYでは、当時の主流であった耳掛け型のヘッドホンにプレーヤーを内蔵。メモリー・オーディオだからできる小型化を活かすための発想だったのでしょう。また、ワイヤレスであるという利点がストリート/スポーツの世界でこそ受け入れられると感じたのだと思います。しかし、実際には耳に掛け続けるには、やや重く大き過ぎるものになりました。
NW-E8P(SONY社)
- UZ-PS128 (AIWA社)
アイワからは、当時推進しようとしていたPavitというUSBメモリーを使用した「USBオーディオ」シリーズの一環として、「AZ-FS256」という後ろ掛けスタイルのものを提案しました。この機種はFMチューナーを搭載したモデルでしたが、そのチューナーの開発に時間がかかるということで、発売に至らなかったように記憶しています。代わりに、メモリー内蔵タイプのUZ-PS128という機種が発売になっていましたが、筺体部分が厚く、装着した際に不恰好なものになりました。
- XA-AL55(Victor社)
ビクターは、得意の耳掛け型の機種を出しました。発売時期がわりと最近であるということもあり、比較的コンパクトに仕上がっています。とはいえ、世の中のヘッドホンにおいて耳掛け型が主流ではなくなり始めていたタイミングだっただけに、時期を逃した感がありました。
これらのヘッドフォンは、さほど数が売れなかったのでしょう。その後、各社からはその後継機が出ることはありませんでした。ただし、大手メーカー以外では、何度かチャレンジがあったようです。
最近のプレーヤー一体型ヘッドフォン
記憶に新しいのが、iPod を直接取り付けられるヘッドフォン「MC-MTUNA」(macally社)。なるほど、プレーヤーもあそこまで小型薄型化すると、こういう手もある訳ですね!まさに、iPod をメディアとして捉えた発想です。
さて、以上のように、プレーヤー一体型ヘッドフォンを時系列で紹介してきましたが、読者のみなさんが「あーこれ使ってる人見たことある!」と思われる製品はありましたでしょうか?
おそらく、あまりいらっしゃらないのではないかと思います。となると、現在までプレーヤー内蔵ヘッドホンが世の中に受け入れられていないのには、いくつか理由がありそうです。後編では、私なりの分析について話したいと思います。
関連リンク
ループマスター(Pioneer社)
SV-SD01(Panasonic社)
Form-2(Bang & Olufsen社)
e-musee(SHARP社)
NW-E8P(SONY社)
UZ-PS128(AIWA社)
XA-AL55(Victor社)
宗小判(ソウ コバン)さんプロフィール
大手音響機器メーカーで筐体設計者として商品開発に携わる傍らで、プロダクトデザインの現場に顔を出す日々を送っております。技術者ならではの厳しい眼と、偏った愛着でもって、世に出た製品を分析します。
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