2007.05.08

ファシリテーションスキルとは

イメージ:ファシリテーションスキルとは

語録に探る「デザインのトリガー」 ♯3
DH(プロダクトデザイナー)

バックナンバー

こんにちは。そろそろミラノサローネに関するニュースも多く届くようになり、メディアでデザインが取り上げられやすくなるシーズンですね。

前回は「自力の発想力」についてお話ししました。今回はさらに「他力の活かし方」、また、最近耳にする「ファシリテーションスキル」についてお話ししてみましょう。

「たった一人」でモノは作れない

自分のアイデアを形にするためには、部内の他デザイナー、資材購買、技術、製造、品管(品質管理)、営業、法務、経理、経営陣など、さまざまな人の力が必要です。さらには、樹脂メーカー、モデル制作業者、外装部品メーカー、印刷会社など、社外の人々の力も必要です。

最近のRoHS(ローズ)やPL法など、デザインの形状・素材・発色といった部分に関わってくる付随要素も増える一方なので、それぞれの専門家の「お知恵」を借りる必然性はさらに高まっています。

「周り動かす力」も必要なスキル

せっかくいいアイデア・デザインを作っているのに、社内で通らない。世の中に出る前に終わってしまう…。こうした状況を周りでよく見かけます。 「他部署の反対で出せない」「上司が理解してくれない」などと嘆いている間に、ライバル達は着々と自分の作ったアイデアを売り込み、実現に向けて進んでいたりします。

「よいモノづくりに専念したい」という気持ちは大事ですが、「世に出ないことには始まらない」のも事実。そのためには、「周りを動かす」スキルも、クリエイターの実力のうちの一つなのではないでしょうか。

「アイデア・デザインを実現するため」のファシリテ-ション

最近、社内で部門間の調整などをする能力がファシリテーション・スキルなどと言われ、注目されています。Wikipediaによると…

ファシリテーションとは企業内や学校内、地域のコミュニティーなど、組織での会議の場などで、発言を促したり、話の流れを整理したり、参加者の認識の一致を確認したりする行為で介入し 相互理解を促進し、合意形成へ導き組織を活性化(協働を促進)させる手法・技術・行為の総称。(Wikipedia)

…とのこと。また、とあるインタビューで目にしたのですが、日清食品のプロダクトマネージャーは次のように語っていました。

「自分が考えた物を実現するためには、他部門を動かすことが重要。そのために部門長クラスの人間と上手くリレーションを取ったり、時にはヒザを詰めて説得したり、必要とあらば頼み込んだりと、あらゆる手を使います」

こうした動きはプロダクトマネージャーの仕事であり、本来デザイナーの仕事ではないかもしれません。しかし「プロダクトを世の中に生み出していく」ためには、どの現場でも同じように、このような動きが必要であるといえるのではないでしょうか。

デザイナーの「ファシリテ-ション」を考える

会議で、意見がまとまらない、あるいは自分の望まない方向に進んでいる時、一デザイナーとしてその場をコントロールができれば、「自力のアイデア」を実現できる「実現率」が高くなります。

この場合、想定される反論に対して押さえておきたいのは以下の5つ。

  • この案では設計変更になる(あるいはできない)という技術面について
  • この案ではラインが組めないという製造工程面について
  • この案では売れないだろうという営業面について
  • この案では価格が高くなるだろうという資材・購買面について
  • この案で果たして儲jかるのかという経営面について

このような意見への返答をあらかじめ考えておけば、「実現率」は高くなります。先輩のトークや、デザイナーのトークイベントでの発言は案外参考になりますし、最近はファシリテ-ション関連の本が多く出ていますので、いざという時の肥やしになるかもしれません。

佐藤卓さんの言葉から

小手先のトークテクニックも有効ですが、一番重要なのは下記の佐藤卓さんの言葉にもありますが「理解と協調」というスタンスです。異なる分野のプロフェッショナル同士が衝突するのはナンセンスだと私は考えています。

それでは最後に、佐藤卓さんの言葉をご紹介しましょう。

佐藤卓(パッケージ・プロダクトデザイナー)

クジラは潮を吹いていた。開発者とデザイナーって、互いの意見を主張し合っていがみ合う…というイメージを持たれがちですよね。

でも僕のスタイルは、『衝突』ではなく『理解と協調』。意見を出し合う中で、どちらかにNGが出たとすれば、その問題をどう解決すればいいのかを、相手と同じ目線に立って一緒に探っていくのです。

いかがでしたでしょうか?よいモノを世の中に出すために、お互い前向きに、切磋琢磨しながら進んでいきたいものですよね。それではまた次回を、お楽しみに!

(プロダクトデザイナー DH)

関連リンク

語録に探る「デザインのトリガー」のバックナンバー
ミラノサローネ
ファシリテーション(Wikipedia)
RoHS(Wikipedia)
PL法(Wikipedia)
Taku Satoh Design Office

DHさんプロフィール

60年代後半生まれ。機械工学部を卒業し、電気製品メーカーでプロダクトデザイン、プロモーション、業界紙広報、提案営業、商品ユーザビリティ部門のマネジメントなど、さまざまな職種に関わる。現在は環境関連のプロダクトがメイン。休日は展示会、セミナー、デザインイベントなどを散策。スーパーや100均ショップで、ちょっとした生活道具や雑貨にいちいち気を取られてしまうのが弱点である。

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