2008.12.09
北川一成×新津保建秀 『変わる価値』刊行記念トークショーレポート

北川一成氏(GRAPH)の著書、『変わる価値』の刊行を記念して行われたトークショーの様子をお届け。
Design×Printingを標榜し、厚い信頼を集めているGRAPHと、デザイナーの北川一成氏。著書『変わる価値』は、自身の生い立ちを振り返る一方で、多くの仕事人たちのもとを訪ね、モノづくりのあり方を探っていく探訪記にも似た自叙伝だ。
印刷はGRAPHで、装幀は北川氏自身が担当。他にも先鋭的な仕事で注目を集める北川氏だが、カバーに収められた「職務質問エピソード」など、強烈なエネルギーと魅力による逸話に事欠かない。そんな北川氏が仕事の裏側を語るとあって、青山ブックセンターで開かれた刊行記念トークショーには多くの人が集った。
カバーに収められたエピソードについて語る北川氏(Google Video)
特殊印刷では失敗が最良のノウハウ
現在のGRAPHの代名詞である特殊印刷。旧北川紙器印刷からGRAPHとして再出発を果たした1989年、同じ印刷業界とはいえ新しい世界に足を踏み出す。北川氏を中心に社内で自主的に勉強会を開き、多くの知識を学んでいったというが失敗の連続だったという。
北川氏によれば、特殊印刷とは「遠い目的地から片道の切符で帰ってくる」ようなものだという。2万種類近くもある紙の中から、
- どの白を使うのか
- 質感は
- 折りは
- インキの乗り方は
……と、毎回挑戦の連続。だからこそ、特殊印刷では失敗が最良のノウハウになるという。特殊印刷の場合、以前とまったく同じ仕事というのはめったにない。なので、単純に作業効率をよくするようなノウハウとは異なる。GRAPHのWebサイトには、そうした積み重ねが記録されている。

GRAPHのポートフォリオ(左)
『変わる価値』もスペシャルセットが制作された(右)
発明王・エジソンが残した「失敗は成功の母」とは、本当にどん底まで失敗し続けたからこそいえることだろう。こういう話をきくと、普段の自分の失敗など、まだまだ小さいものだと思える。
求められるのは技術よりも翻訳能力
特殊印刷といえば、箔押しなどの難しい技術を詰め込めば成り立つと思いがちだ。しかし本当に大切なのは、印刷会社・デザイナーとして、デザイナーやクライアントの形にしたいものをくみ取る翻訳能力なのだそうだ。
一般社会と同じく、モノづくりの現場では多くの人が携わっている以上、相手の作りたいものを読み取る能力が欠かせない。読み取ったうえで、クライアントが望む形にマッチした技術を提供するからこそ、GRAPHの印刷は信頼を得ているのだろう。
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