2008.08.21
「アイスベキモノタチ」&「TODAY’S ARCHIVES」展レポート

国立新美術館のミュージアムショップに併設されたギャラリーでは、“東京的視点”でキュレーションされた展覧会を開催。今回は2つの展覧会の様子をレポートします!
ミュージアムショップの新機軸
「SOUVENIR FROM TOKYO(スーベニア フロム トーキョー、以下SFT)」は、外苑前、自由が丘にあるインテリアショップ、「CIBONE」が運営する、国立新美術館のミュージアムショップ。とは言っても、単に展覧会の図録や関連グッズを扱うだけでなく、マンガからアートブック、工芸品から若手デザイナーの作品まで、知名度やジャンルにとらわれることなく、東京的視点で新しいデザインやアートを紹介しています。

そしてさらに、ショップ内にはギャラリーがあり(「SFT GALLERY」)、2ヶ月ほどの会期ごとに、展覧会を行っています。それはショップの品揃えと同様、ジャンルは実に様々。ファッションあり、プロダクトデザインあり。
今回は、現在開催中の「SHIMIZU HISAKAZU EXHIBITION アイスベキモノタチ」(〜9月1日)と、その前に開催されていた、ファッションブランド「minä perhonen(ミナ ペルホネン)」の世界観が堪能できる展覧会、「minä perhonen TODAY’S ARCHIVES」展(4月23日〜6月30日)の模様を少しだけご紹介します。
愛すべきモノたち
下の作品を見て、何を使ってつくられたものかわかりますか? そうです、チューチューアイスです。これら、身の周りに溢れている無数の「モノ」を使い、新たなモノやカタチを創出しているのは、インダストリアルデザイナーの清水久和さん。
キヤノン(株)にて「Canon IXY DIGITAL」シリーズなど多くの商品デザインを手掛ける一方、「SABO STUDIO」名義で自身の表現活動をしています。

この他、特に目を引くのは「日常の愛すべきバッドデザイン」をテーマにつくられた、ステンレス製でピカピカのアイスクリームカップやアイスクリームスプーン。材質をまったく別の素材に置き換えつつもオリジナルを忠実に再現することで、チープなそれらのモノたちが、実は美しいフォルムを持ち、秀逸なデザインであることを際立たせています。
緻密な工業製品のデザインを手がける清水さんならではのクオリティコントロールが、それを可能にしているのだと感じました。

清水さんは自身のWebサイトで、「工業デザインを仕事としながらも、グッドデザインと呼ばれるものより、思い出を支えてきたとるに足らないものたちに愛着を感じてしまいます」と語っています。日頃、クリエイティブに携わっている読者の中にも、同じように感じる人もけっこういるのではないでしょうか。

SHIMIZU HISAKAZU EXHIBITION アイスベキモノタチ
長い時間をともにできる洋服づくり
「minä perhonen(ミナ ペルホネン)」とは、ファッション/テキスタイルデザイナーの皆川明さんが主宰する女性向けのファッションブランド。「時の経過によって色褪せることのない服を目指し、オリジナルの図案によるファブリックを作るところから服作りを進める」(ブランドコンセプトより)ことをテーマに、1995年より活動をスタート(設立当時のブランド名は「minä」)。
今回は、ミナ ペルホネンが設立されてから13年、これまでに制作されたおよそ700種類を超えるファブリックから生まれた洋服やバッグなどの中から、厳選したものたちを展示。膨大なアーカイブに裏付けされた、ミナ ペルホネンの魅力に触れることができました。

minä perhonen TODAY’S ARCHIVES
テキスタイルデザインでは主に、布地を作っていく手法として、織りもの、染めもの、プリント、刺繍といったいくつかの技法があります。今回展示されていたのは、織りではシンプルなパターン、プリントでは動物や自然の風景のドローイング、また刺繍では手書き風のパターンといった、とても可愛らしいモチーフ。
プリントに使われている原画(図案)も間近で見ることができ、図案と実際のファブリック、さらにはそれが洋服などのカタチになったときには、大きくその印象を変えることがわかりました。

服だけでなく、実際にプリントに使われた図案も展示
また、ミナ ペルホネンの洋服を着ている人たちを撮影した写真が展示されていました。よく見てみると、その人たちは恋人同士であったり、親子であったりといろいろですが、いずれも、身に付けた洋服を自分のものとして上手に着こなし、洋服への愛着が表情に現れています。
そこには、ミナ ペルホネンのコンセプトにある「時の経過によって色褪せることのない服」、そして皆川さんの毎日ファッション大賞受賞時のコメントにある「一枚の服が、着られて着られてすっかり体のクセがしみこんで。記憶をたどるクタクタの一着を、僕がこの仕事を終えるとき、どこかで誰かが着ていてくれる。そんな一着をつくることがあったらいいと思っている」という考えに通じるイメージを見ることができ、とてもほっとさせられました。

“東京を映し出す鏡”
SFTは、買い物にしても展覧会にしても、今の東京的なクリエイティブに触れたいときに、ちょっとのぞいてみたいスペース。新しいものの見方を提案し、「東京を映し出す鏡のような場所」を目指す同ギャラリーの、今後発信されるメッセージにも要注目です。
関連リンク
SOUVENIR FROM TOKYO(スーベニア フロム トーキョー)
CIBONE
国立新美術館
SFT GALLERY
SHIMIZU HISAKAZU EXHIBITION アイスベキモノタチ
minä perhonen TODAY’S ARCHIVES
SABO STUDIO
minä perhonen(ミナ ペルホネン)
皆川明(Wikipedia)
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