2009.05.25
ステレオ3D版『バスカッシュ!』がTAFで特別上映

スピード感溢れる立体アクション
CGで描かれた巨大ロボがバスケットボールを繰り広げるという、迫力のアクションが満載のアニメ『バスカッシュ!』(MBS・TBS系にて放送中)。実は、同作のステレオ3D(S3D)版ショートムービーが東京国際アニメフェア2009にて特別上映されていた。

『バスカッシュ!』 ©河森正治、ロマン・トマ/サテライト/バスカッシュ!製作委員会・MBS
S3D化にあたり、CGIプロデューサーの橋本氏(サテライト)がパートナーとして選んだのは、国内で初めてRealDの立体映像制作システムを導入したポストプロダクション、キュー・テック。この依頼を受けたS3Dディレクターの三田氏は、「今までS3D化してきた中でも、今回はトゥーンシェーダによる2D的な処理との融合という意味で非常に実験的でした」と語る。

今回の上映用に、オリジナルの背景を作成。
TV本編の背景は美術班が描きで制作しているが、
今回はS3Dの効果を優先し、Mayaで作成された。
また、手描きならではの煙や砂埃等のエフェクトを
どのようにCGで作成するかが今後の大きな課題とのこと
本作で大きな課題となったのが、アニメ特有の奥行き表現をどのように変換するかだ。日本の作品で頻用される広角レンズ状の構図は、そのままS3D化すると近景にピントを合わせることができないなど、映像に破綻をきたす。そのため、通常は望遠レンズに切り替えてしまうのだが、今回はあえてオリジナルの構図を保持し、クロスポイント(両目の焦点)を調整して意図的に視点誘導することで問題を解決した。
「さらに今回、主役のロボット以外のものに対し、被写界深度をかけることで目に入る情報量を整理しました。また2Dの映像よりもアクションを目で追いやすくするように、動きのタメを調整しています。今回はロボットがゴールを決める瞬間、ロボットからリングへのピン送りも試みていますが、それも視線を誘導する上で効果的でした」と、サテライトの八木下氏。風景をパンするカットにおいても、2Dアニメで立体感を強調するために編み出されたオブジェクト配置がそのまま活かされている。

制作した映像は、最終的にキュー・テック本社内の
200インチスクリーンで確認し、その場で編集も行われた。
カットの切り替えで生じる空間全体の位置ズレを修正する上で、
巨大スクリーンは非常に便利だったという
「これまで日本の2Dアニメーターがストイックに追求してきた空間表現は、S3D化する上で海外の作品とは異なった付加価値が与えられると考えています。しかも、これまで平面の映像に落とし込むことで捨ててきたCGの立体情報をフルに活用できる点でも、非常に魅力的な表現ですね」と、橋本氏は語る。映像業界では着々とS3D化が進んでいるが、自分達ならではの立体表現が追求できる楽しい時代に入ったのかも知れない。

左から、三田邦彦氏( S3Dディレクター/キュー・テック)
橋本トミサブロウ氏(デジタル部部長、CGIプロデューサー/サテライト)
八木下浩史氏(デジタル部 CGIチーフディレクター/サテライト)
©河森正治、ロマン・トマ/サテライト/バスカッシュ!製作委員会・MBS
| タイトル | 『バスカッシュ!』 |
|---|---|
| 放映日 | 毎週木曜/金曜 深夜1時55分より、MBS、TBS他で放送中 |
| 制作クレジット | 制作:(株)サテライト ほか プロジェクトディレクター:河森正治 監督:板垣伸 |
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