2009.04.16
『地球が静止する日』の新宿ショットは、日本人が撮影していた!

ハリウッド大作の意外な制作事情
昨年12月に公開された映画『地球が静止する日』。Weta Digitalが高精細なVFXを手掛けたことでも注目された本作だが、劇中に登場する新宿のカットは何と制作と全く関わりのない日本人が、公開のわずか2ヶ月前にメールで依頼されて撮影したものだったことが判明した。
撮影したのは、元IMAGICAの岡嶋芳昭氏。全ては昨年10月、岡嶋氏がイマジカの退職にあたり、仕事で関わった人々に挨拶のメールを送ったところから始まった。

岡嶋芳昭氏
LA駐在時代のクライアントだったCosFX Filmsの副社長兼VFXスーパーバイザー、ポール・ボルジャー氏から返事が届いたその翌日、「URGENT(緊急)」と題されたメールが改めて届く。本文には、「今『地球が静止する日』という映画プロジェクトに携わっている。その中でどうしても銀座のシーンが必要だから撮ってきて欲しい」と書かれていた。
「いきなりですよ。しかも撮影の素人に(笑)」(岡嶋氏)。メールには低解像度のJPGファイルがサンプルとして添付されており、「このロケハン画像と全く同じように、銀座の大通りからビルを斜めに見上げる画が欲しい。昼と夜の両方を4KのデジタルスチルとHDカムで撮影したもの、そしてテクスチャ用にそれらのビルを正面から撮ったスチルを送って欲しい」とのこと。

『地球が静止する日』 ©2008 Twentieth Century Fox Film Corporation.
岡嶋氏はキャノンのデジタル一眼レフを持っていたが、画面の横幅が3,800ピクセルしかないエントリーモデル。さらに、HDカムや必要な機材の入手や納期、データの受け渡しはどうするのかという疑問で頭が一杯だったという。とりあえず質問を送ると、「スチルは君のキャノンで良い(本番用プレートなのに!)。だけどHDカムはレンタル屋から借りて貰いたい」と返事が。
さらに納期は「数日以内」。 言わずもがな、HDカムは一般人が簡単に調達できるものではない。「そもそも素人にロケを頼むとは、どれだけ予算のない作品なのだろう」と思って検索すると、何とキアヌ・リーブス主演作。しかも公開日が僅か2ヶ月後に迫っていた。
さて、岡嶋氏はこの局面をどのように乗り切っていったのか……。この後、思わぬ救世主が現れることになる。次ページにて。
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