2008.10.27

ピクサーで開催された「トトロの森を守ろうチャリティー・オークション」

イメージ:ピクサーで開催された「トトロの森を守ろうチャリティー・オークション」

ナベジュンのハリウッド通信 ♯3
鍋 潤太郎(from ロサンゼルス)

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こんにちは。ここ、地球の反対側である、明るく「脳天気」で平和で大袈裟なロサンゼルスでは、今日も楽しい出来事が沢山起こっています。今回は、サンフランシスコに飛んで、「トトロの森を守ろうチャリティー・オークション」の話題をみなさんにご紹介します。

ハリウッドから埼玉県狭山丘陵を守る

9月6日(土)、サンフランシスコのピクサー・アニメーション・スタジオにおいて、「トトロの森を守ろうチャリティー・オークション」が開催されました。なぜトトロ? どうしてまたアメリカで? なんでピクサーで? 皆さんそう思われた事でしょう。これには大きな訳がありました。

ピクサー

宮崎駿監督によって1990年に設立された「トトロのふるさと基金」は、読者の皆さんも新聞やニュース等できっと耳にした事があるでしょう。これは、映画「となりのトトロ」の発祥の地とも言える埼玉県狭山丘陵を、開発による破壊から守る為に作られたものです。

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ジョン・ラセター氏(左から2番目)

基金は開発予定地を買収する事に充当され、これまで森を守りつづけてきましたが、地価高騰のあおりで更なる土地買収が困難な状況になりつつあったのだそうです。これを知った、ピクサーでアート・ディレクターとして活躍する堤大介氏は「ハリウッドのアニメーション業界でも何か出来ないだろうか?」と考え、氏が中心となってプロジェクトチームを発足させました。宮崎監督と親交のあるジョン・ラセター監督もバックアップする事になりました。

堤 大介氏
堤 大介氏

堤氏の幅広い人脈、ピクサーのスタッフの協力を得て、世界中のアニメーション業界で活躍するアーティストに対して、チャリティー・オークションの為の作品の制作と提供を呼びかけました。その結果、集まった作品が一同に展示され、そしてオークションに掛けられるという一大イベントに発展したのでありました。

アニメーション業界で働く人々に国境はない!

堤氏からこのオークションの開催について連絡を受けた僕は、週末を利用してサンフランシスコへ飛び、ピクサーを訪問。このオークションを取材してきました。

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大勢のボランティアがイベントを支えた

現地に着くと、すべてが手作りで、すべてがボランティアのイベントなのだという事がすぐに理解出来ました。ピクサーは会社として、同スタジオの広々としたロビーを、作品展示とオークションの為に提供。そしてピクサー社員や、サンフランシスコ近郊の業界で働く人々は、無償のボランティアとして裏方スタッフに徹し、この日のイベントを裏で支えていました。

出展作品を手にするアーティスト達
出展作品を手にするアーティスト達

会場では、企業スポンサーからの提供によるワインや食べ物が出され、なごやかな雰囲気で人々が作品に見入っていました。また、場内のあちこちで業界著名人の姿も見られました。こうして作品はオークションに掛けられ、その結果なんと20万ドル($1=100円換算だと2000万円に相当)もの収益があり、その売上金がすべて「トトロのふるさと基金」に寄付されたそうです。

談笑する参加者
スポンサーから提供されたドリンクを手に談笑する参加者

アメリカから遠く離れた「日本の、とある森」の為だけに、そして日本のアニメーション監督である宮崎さんの為に、これだけ大勢の人が集まって心をひとつにしているのを目の当たりにして、僕自身とても感動しました。会場入り口には、宮崎監督の「ありがとう!」という直筆+イラスト入りの色紙も展示されていました。

テーマを鋭く捉えたEmanuela Cozzi氏の作品
テーマを鋭く捉えたEmanuela Cozzi氏の作品

僕はこれを見て、「アニメーション業界で働く人々に国境は無い。国境や言語、そして文化の違いを超えた絆があるんだな~」と感慨深く、幸せな気持ちで会場を後にしたのでした。

(鍋 潤太郎 from ロサンゼルス)

関連リンク

トトロのふるさと基金
ピクサー・アニメーション・スタジオ

鍋 潤太郎さんプロフィール

映像ジャーナリスト  ロサンゼルス在住
月刊CGWORLDにて、海外で活躍する日本人アーティストを紹介する好評連載「海外で働く1,2」(2001~2005年) 、「Beyond Japan」 (2005~2007年) 、「Boarding Pass」(2008年~)を執筆する他、「映像新聞」でもハリウッドのビジネス・ニュースをいち早くレポートしている。著書に「ハリウッドCG業界就職の手引き」「海外で働く映像クリエーター / ハリウッドを支える日本人」がある。

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