6月20日、109シネマズ3館に導入される新たな上映方式IMAX Digitalシアター・システム。海外で劇的な興行成功を収めている、本システムを詳しくみてみたい。
世界最高品質の映像を誇るIMAX社の歴史
元々IMAX社は、1970年の日本万国博・富士グループ館の巨大映像を生み出すために作られた企業である。この時に、通常の35mm4パーフォレーション(フィルムの送り穴の数。以下Pと表記)の10倍以上の面積を持つ、70mm15Pというフィルムを用いる映像システムが考案された。
それはとてつもないクオリティで、40年近くを経過した今でもこれを超える画質の映像メディアが現れない。以降IMAX社は、世界各地の博覧会や公共教育施設、テーマパークなどに進出し、様々なバリエーションの上映システムや撮影装置、そして専用のコンテンツを生み出していった。その全ての基本となっているのが、EXPO'70 以来引き継がれる70mm15Pフィルムへのこだわりである。
他の企業が70mmフィルムから撤退してしまったのに対し、同社はあくまでもこのメディアに執着した。これは常に世界最高の映像品質を保つという、同社のブランド戦略によるものである。同社は科学万博つくば'85・富士通パビリオンでOMNIMAX 3Dというシステムを発表した。そして、大型映像と3Dの組み合わせが観客に強烈な没入感をもたらすことを発見し、以降積極的に立体映像に取り組んできた。

IMAXデジタル・プロジェクション・システム。
中央にある2台のプロジェクタが同時に投影することによって、
巨大スクリーンを見ているような印象を与える
また、通常のシネコンの1スクリーンをIMAX用に改造するIMAX MPXシアター・システムを発表し、IMAXやIMAX 3Dの作品を積極的に公開してきた。これは特にアメリカで普及し、一般に同社の名前を広く浸透させることに成功した。IMAX社はこれを受けて、通常の劇映画をIMAX用に変換するIMAX DMR(Digital re-Masterd Release)システムも開発する。
これは35mmフィルムを8Kでスキャンニングし、デジタル・エンハンス処理(フィルムグレインの消去、シャープネスの向上、カラーコレクション、傷やゴミの除去など)を施し、65mm15Pのネガにレコーディングするというもので、初めからIMAXカメラで撮影したような高画質が得られる。
そして2003年より全世界のIMAX シアターで、『マトリックス・リローデッド』(2003)、 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(2004)、 『バットマン ビギンズ』(2005)、『トランスフォーマー』(2007)など、約40本の作品がIMAX DMR版で公開された。これは(日本を除く国々で)劇的な興行的成功をもたらした。特に3D作品において顕著で、世界平均で5~9倍も他のシステムの劇場より売り上げが高い。
また、IMAX DMRの効果に感銘を受けたクリストファー・ノーラン監督は、『ダークナイト』(2008)の6シーンを実際にIMAXカメラを用いて撮影している。またマイケル・ベイ監督も、『トランスフォーマー/リベンジ』(2009)の主要な3つのアクションシーンを、IMAXカメラで撮影した。
しかし問題があるのも事実だ。70mm15Pフィルムのプリント費や、水冷装置を必要とするプロジェクターの運営費などが、劇場側に重くのしかかってくるのである。
台湾にオープンした「日新 威秀影城」で観たIMAX Digital映像の感想、日本での上映については次ページで。
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