業界に大きなショックを与えたThe Orphanageの閉鎖。実力派スタジオの終焉を惜しみながら、ハリウッドで独自の地位を築いて来た同社の10年の歩みを振り返ろう。
ジ・オーファネッジ閉鎖の経緯
サンフランシスコの中堅エフェクトハウス、ジ・オーファネッジ/The Orphanage(以下オーファネッジ)が2月4日をもって閉鎖された。まず最初に、設立者の1人であるスチュワート・マシュウィッツ/Stuart Maschwitz氏が自身のブログで閉鎖を公表。その後同日18時に全クルーが緊急召集され、同氏から「本日をもって会社の運営を凍結する」との発表が行われたという。
クルーによれば、ここ1年ほど同社は3Dエフェクトを含む大規模なプロジェクトを思うように受注できず、2Dの仕事が多くなっていたとのこと。同社は昨年映画『アイアンマン』の一部の受注には成功したが、最終的に多くの3DショットがILMへと流れてしまった。
その上一連の世界同時不況により金融機関からの融資が減少し、1月には社員への給与の支払いが停滞し始めた。このように、オーファネッジの閉鎖は100%不景気が原因という訳ではないが、経営難に不況が拍車を掛け、苦境を乗り切れなかったことは確かだろう。その意味では、米西海岸の有名VFXハウスの不況による閉鎖第1号と言えるかもしれない。
中規模ながら独自の地位を守り続けた10年間
さてここで、少しオーファネッジの歴史を振り返ってみたい。“Orphanage"とは「孤児院」の意で、1999年にILMから独立した3名(スチュワート・マシュウィッツ氏、ジョナサン・ロスバード/Jonathan Rothbart氏、スコット・ステュワート/Scott Stewart氏)によって立ち上げられたVFXスタジオだ。
プロダクション・マネージャーらは部下のクルー達を「Orphan(孤児)」と呼び、独特の社名を自ら楽しむ社風があった。同社はサンフランシスコの金門橋のたもとにあるプレシディオ国立公園内にスタジオを構えており、同じ公園内にあるILMは歩いて7分程度の距離。その便利さからILMとオーファネッジを行き来するフリーアーティストも多かった。

The Orphanageオフィス外観。
国立公園内の旧陸軍の建物に本拠を構えていた
スタッフ数は100~160人で、ハリウッドのVFX業界では中規模のスタジオと言える。中規模ながらも10年にわたって同社がある程度の地位を築き上げてきたのは、やはりILM出身者で固めた経営陣とクリエイティブ・チームが作り出すVFXの完成度の高さによるところが大きい。
これまでに手掛けた作品には『シン・シティ』、『デイ・アフター・トゥモロー』、『スーパーマン リターンズ』、『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』などのメジャー映画が並び、度々VESアワードにもノミネートされている。
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