2009.04.03
予想外の「任天堂圧勝」が引き起こした
デベロッパー再編と開発投資バブルの終わり

米ミッドウェイ・ゲームス破産に見るパラダイム・シフトの胎動
Editer's EYE ♯17
誰もが予想していなかったWiiとニンテンドーDSの圧勝によるゲーム市場の構造変化。開発投資バブルの崩壊が欧米デベロッパーを直撃し、今、世界のゲーム産業に変革が起こりつつある。
欧米デベロッパーの開発費バブルの崩壊
いつの時代でもそうだが、未来の予測は本当に難しい。任天堂のWiiとニンテンドーDS(以下DS)が世界市場を制し、また任天堂タイトルが市場上位を独占するという今の状況は、ほんの3年前には誰にも予想ができなかった。市場規模は前年度比で米国15%、欧州10%の成長という過去最大の結果を残したにも拘らず、その大半の市場成長を任天堂が独占するという未曾有の状態だ。
サードパーティ各社はこのWii圧勝という状況を全く予測していなかったために、急激な市場変化についていけていない。結果論ではあるが、これは高コスト体質の体制を作っていた北米企業に大きな打撃を与え、ゲーム産業の世界地図に大きな変化が起きようとしている。

米のゲーム小売店大手EB Gamesの店舗。
アメリカでは昨年WiiがXbox 360の累計販売台数を抜き、
現在まで差を広げ続けている
日本のゲーム産業の給与水準は、産業規模として最大の北米に比べるとかなり安いと言われている。北米の開発者はプログラマーの場合、年俸1千万円が基本で、スタークラスになると3千万円という話も出るほどだ。グラフィックスでも、年俸600万円ぐらいの相場感がある。
一方で、日本のデベロッパーの給与水準について正確な統計は存在しないが、実感としては半分程度ではないだろうか。もちろん社会福祉制度に大きな違いがあるため、簡単に比較することはできないが、日本の開発者からは欧米のデベロッパーたちが羨ましく見えたものだ。
しかし、その基本相場は当然のことながら開発費に跳ね返ってくる。特にPS3やXbox360などの高性能ゲーム機向けタイトルにおける開発コストは、今や80~100人程度、2~3年規模の開発で下限20億円というのが基本である。
任天堂は市場のルールを劇的に変えてしまった……。次ページではその象徴ともいわれる、米ミッドウェイ・ゲームスを例にみてみよう。
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