2009.03.06
ハリウッドのVFX業界が抱える雇用体制の問題点とは

米ソニー・ピクチャーズ・イメージワークスが昨年秋に大規模なダウンサイジングを敢行
Editer's EYE ♯16
昨年、米ソニー・ピクチャーズ・イメージワークス(以下SPI)において行われた大規模な人員整理。関係者への取材を通して、華やかさの陰に隠れがちなハリウッドのVFX業界の労働問題を考えてみたい。
「レイオフ」か否か食い違いを見せる当事者のコメント
昨秋、米SPIにおいて大規模なダウンサイジングが実施された。同社を去った人数は100人以上にも上る見通し。これを単なる余剰人員の整理としての「ダウンサイジング」と見るか、経営状態の悪化に伴う大規模な「レイオフ」と見るかは大変微妙なラインだが、同社を離れた元クルーへの取材からは明確に「レイオフされた」という声が聞かれた。それによると今回は、「映画『ポーラー・エクスプレス』(2004)が終わる直前に実施されたレイオフよりも酷かった。各プロジェクトが終わるごとに、携わっていたクルーが次々に切られた」ほどだったという。
事実確認のため同社広報部に問い合わせたところ、「レイオフは行なっておりません。単にプロジェクト契約のスタッフが、担当作品の完成に伴って契約が終了し離職したに過ぎません」という回答を得た。確かに全員が契約期間の満了で退職したのであればこの説明も筋が通るが、実際に退職させられたクルー達の意見は、このコメントとは大きな食い違いをみせている。
元クルーの1人は、この広報部のコメントを見て「私はプロジェクトごとのコントラクト(契約)ではなく、社員だった。にもかかわらずイグジット・ミーティング(解雇通告の面談)に呼ばれ、上司から『あなた自身の過失でレイオフになるのではない。ただ、次にアサインするプロジェクトがない』と宣告された」と語った。これを“レイオフ”と呼ばずして、何と呼ぶのだろうか。

今回、舞台となったSPI。
“レイオフ”されたVFXクルーは全体の40%にも上るという噂もある
SPIでは、今年初めに新作映画のVFX作業が何本も予定されているものの、昨年の夏から冬にかけて稼動する作品が少なく、今回の“レイオフ”はその期間の余剰人件費の負荷を減らすため、という見方が強い。また別の元クルーによると「昨年SPIでは役員が入れ替わり、プロジェクトとプロジェクトの間の『アーティスト・ウエイト・モード』と呼ばれる待機期間に発生する余剰人件費の大幅見直しが行われた」ことも要因の1つであるようだ。
ただ今回の“レイオフ”はライターズ・ギルド(米脚本家協会)やアクターズ・ギルド(米俳優協会)のストライキによるプロジェクトの停滞によって、夏から冬にかけてのVFXプロジェクトが一時的に激減したことが原因であり、サブプライム問題に端を発した一連の不況による影響ではないと見られている。
ハリウッドとはいえ、夢のような話ばかりではない……。プロダクション・カンパニーで起こっているシビアな現状については次ページで。
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