群集にリアリティを持たせる動きのバリエーション
大都市の上空を優雅に飛ぶ黒い影。一見するとクジラのようなその巨大な影の正体は、思い思いの姿でオフィスへ向かうビジネスマンの群れである。独特の雰囲気を持つこの映像は、サントリーBOSS BLACKのCMだ。CG制作を担当したのはオムニバス・ジャパン。
CGWORLDの内容をお楽しみいただけるコンテンツです
この連載は、CG技術やトレンドを、放送業界の取り組みという観点から探っていくコンテンツです。Web版では概要のみ掲載しています。
より詳しい制作テクニックや工夫については、月刊CGWORLD11月号(Vol.123・2008年9月29日発売)で写真なども豊富にご覧いただけます。
本作では、複数のアニメーションを組み合わせたコミカルな演出で、インパクトの強い映像に仕上がっている。「企画の段階では、クジラがカラスに、カラスがアリに変化して、最後に人間になるというアイデアがありました。これを短い尺の中でより印象的に仕上げるため、クジラ=ビジネスマンの群れという形にコンテがまとまったのです」と、CGプロデューサーの貞原能文氏は語る。

斉藤壮平氏(チーフCGアニメーター)、丸野未奈氏(CGアニメーター)、貞原能文氏(CGプロデューサー)
このクジラの表現にはMayaのパーティクルが用いられ、クジラの形を成して空を飛ぶようにエクスプレッションで制御されている。そこに、実写で撮影した素材を個々のパーティクルと置き換えるという手法が採られた。
しかし、実写素材だけでは画一的な動きになる上、演出的な面白さにも欠けてしまう。そこで、群集の中にフルCGのキャラクターが付け足された。このCGキャラ自体のアニメーションにはモーションキャプチャ(以下、MOCAP)を使用。さらに特定のキャラには手付けモーションでより細かな演技をさせることで、ランダムに動く群集が表現されている。








チーフCGアニメーターの斉藤壮平氏は「最も力を注いだのは、ラストの潮吹きカットです。実写とCG、MOCAPと手付け、それぞれを必要な局面に応じて使い分け、喜劇的で記憶に残りやすい映像を目指しました」と制作のポイントを説明してくれた。
一方で、本作は商品のイメージを活かしつつ、複数素材のコンポジットをより自然に見せるという狙いもあって、全編がモノクロで制作されている。このため、立体感を維持しつつ細部のディテールが潰れないように、レンダリングとコンポジットではパスの取り方やマスクの切り方が工夫されている。
素材や手法を取捨選択することで、より完成度の高い映像へと練り上げられた本作。熟練の技を持つオムニバス・ジャパンならではのテクニックと言える。
| クライアント | サントリー(株) |
|---|---|
| 広告代理店 | シンガタ(株) (株)電通 |
| 制作プロダクション | (株)東北新社 |
| ディレクター | 辻川幸一郎 |
| CG制作 | (株)オムニバス・ジャパン |
関連リンク
このエントリーをブックマークする
このエントリーにトラックバックする
このエントリーのトラックバックURL
http://withd.jp/mt/mt-tb.cgi/2796
CGの新着記事
2009.06.22
MV界のキング・オブ・キングが大集結
2009.06.19
お手軽Web3Dメイキング 〜カエル作りで基本にかえろう〜
2009.06.15
CGプロダクションがB2Cサービスに挑む「DRAWIZ/ドロイズ」
2009.06.12
映画『20世紀少年』メイキング
2009.06.12







