2008.10.28

東京ゲームショウ2008レポート ♯6

イメージ:東京ゲームショウ2008レポート ♯6

基調講演
グローバル時代におけるトップメーカーの戦略と展望

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ビジネスデイの目玉である基調講演。今年は三部構成で行われた。レポートでは、第一部、和田洋一CESA会長の「日本ゲーム産業新世代 海外市場に向けて、日本のゲームメーカーは何をすべきか」をテーマとした講演と、第二部の、ゲームソフトウエア企業の経営トップ3名によるパネルディスカッション「グローバル時代におけるトップメーカーの戦略と展望」を取り上げる。

既に日本のゲーム産業は、世界市場のリーダーでない

第一部:日本ゲーム産業新世代 世界は日本のゲームメーカーに何を求めるのか
和田洋一氏(社団法人コンピュータエンターテインメント協会会長/現スクウェア・エニックス代表取締役社長・タイトー代表取締役社長)

和田氏の基調講演の内容は終始厳しいものだった。欧米発のゲームソフトが世界規模のヒットを打ち出す中、取り残された感がある日本のゲーム業界。その根本の理由について和田氏は、世界市場の嗜好にあった作品が作られていないことや、開発費高騰によるコストの問題、コンテンツファンドをはじめとする資金調達手法がうまくいっていないことなどではなく、構造上の問題である、とした。

また、『ヒエラルキー構造』になっているので、協業クリエイティブを考えると、仕事上は対等なのに、年々厳しくなる下請け法などのコラボレートしにくい現況がある。デジタルコンテンツの流通促進、開発においては、秘密を隠しあうだけではなくオープンにし、同時に権利に関してはきちんと囲わなければいけないだろうと語った。

和田洋一氏(社団法人コンピュータエンターテインメント協会会長 基調講演第一部スライド
構造の改革に、積極的に全員で取り組むことができれば、
.再び世界をリードできると語った和田氏

とにもかくにも、危機に対する本質的な自覚が必要で、「モノを作る土壌が日本において痩せ始めている」と認識すべき。また、コミュニティーを活性化するための人材の流動化という点で、業種内、業体間での転職がもっとやりやすくてもよいのではないか、という点にも触れた。

和田氏は「今ならまだいけるので、正直なところを皆様と共有したいというところで、あえてお話ししました」と、厳しい内容ながらも日本のゲーム業界全体の発展を願ってやまないという面持ちで締めくくった。

グローバル化の成功の鍵は、やはりマーケティングか

第二部:業界トップが語る グローバル時代におけるトップメーカーの戦略と展望
辻本春弘氏(カプコン代表取締役社長)/和田洋一氏(スクウェア・エニックス 代表取締役社長)/鵜之澤伸氏(バンダイナムコゲームス 代表取締役副社長)/司会進行 浅見直樹氏(日経BP社 執行役員)

持続的な市場の成長のためには海外のマーケットなしでは語れない。しかし、最近はiPhoneやiPodなどに代表される、アメリカ発のハードウェアやソフトウェアに圧されている。日本のゲーム業界にかかる期待は大きいが、まだまだ志半ばといったところだ。

【和田】グローバル化の定義が、世界中の人々に自社のブランドを認知してもらえている状態だとすると、まだ1合目から2合目だろう。相当なスピードで取り組まなければ、という危機感を持っています。

【辻本】和田さんの1合目の上を言うのは恥ずかしいのですが、当社の場合は3合目くらいかなと感じています。昨今カプコンのタイトルは欧米で評価され、BIGヒットととまではいかないにせよ売れています。開発側は各地域の嗜好やユーザー層を考えて作っているが、経営サイドも覚悟を決めて、組織への投資やプロモーションの投資をしていかなければならないと考えている。

【鵜之澤】バンダイの場合にはキャラクターゲームがメイン故、どこの国でどの番組がかかってるか、という単純なところで売り上げが大きく変わる。グローバル戦略の中でキャラクターをどう展開していくかが重要です。一方のナムコは海外を意識した作品が多く、ソウルキャリバーは日本では18万本しか出ないのに対して、欧米で220万本も出ています。

【和田】ソウルキャリバーのようなそういう売れ方をしているソフトが実は当社は一本もないんです。たとえFFでも日本の方が売れちゃったりする。ときには逆転しますが。

【鵜之澤】ソウルキャリバーにおいては、キャラクターライセンスを受けているのですが、アメリカのマーケティングにどれだけコスト宣伝費をかけていいか、ようやくわかってきた。独自にやっていたらそれだけ費用をかけたかどうか。それがあるから売れたのだと思う。

グローバル市場で勝つための具体的な対策とは

日本で売れるゲームは世界に通用するのでしょうか? という問いに対しては冷静かつ具体的な施策についてのコメントがあった。また一方で海外ゲームに見るクオリティの高さについても言及していた。

【辻本】日本での実績から、海外で注目されはします。しかし例えば、日本や欧州のように一般交通機関での移動がメインになる場合と、アメリカのように自動車で移動することが殆どであるというスタイルの違いがあり、伴ってゲームに求められるものも変わってくる。欧米市場での販売本数はケタ違いで、平気で500万本を越える。なので戦略的に狙っていきたいですね。僕はできると思っていますよ。

【和田】原則として世界がターゲットになるものをやっていこうと思っているが、「欧米向き」という媚びているようなものは、滑稽なのでやりたくない。ちょっと違う視点では、インターフェイスボタンの割付など操作性の配慮は、グローバル市場に対応してそれぞれの国にローカライズする際に重要だと思う。

続いて、海外のゲームの進化についてどう思いますか? という問いに対しては、評価しつつも日本と海外それぞれのゲーム歴史の違いについて指摘があった。

【和田】海外ものはよく出来ている。海外では表現がリアルな世界に近づく方向で進んだことで、ゲームの進歩と技術がリニアに連携している。それが海外でゲームが進化した理由かと。日本の場合は、ゲームの進歩と技術はリニアではないですからね。そこが徐々に差になってはきますね。

ゲーム業界における現在の日本のアドバンテージは

これまで、ゲーム大国日本として常に市場を牽引してきた自負があったが、果たして現時点でも日本は世界のトップでありアドバンテージがあると言い切れるのだろうか。

辻本春弘氏(カプコン代表取締役社長) 鵜之澤伸氏(バンダイナムコゲームス代表取締役 副社長)
左から、辻本春弘氏(カプコン代表取締役社長)、鵜之澤伸氏(バンダイナムコゲームス代表取締役 副社長)
【辻本】開発の技術力というのはトップにあると思う。日本独自のゲーム開発、例えばFFというジャンルやバイオハザードのようなアドベンチャーホラーというものは海外のクリエイターが作ろうと思っても何か違う……。そんな原点に立ち返って開発していけばいい。社内外との連携、特に海外の方と組んで開発することで学ぶことも多いので、それも推進していきたい。

【鵜之澤】我々は、PS2の時代にラクをしすぎたのかも。ただ続編を作ることで成長できたから。その間にパソコンの進化が進み、欧米ではPCゲームでパソコンの技術と同時にゲームが開発されていった。なので、アドバンテージはもはやないですね。

今こそ日本ならではの強みに自信を持って取り組む

ゲーム業界の景気は決して悪くはないとしても、市場を考えれば危機意識を持ってグルーバル化に取り組んでいかなければならないのは明らかだろう。各社とも今後の見通しと自社の展望についての絵をそれぞれ描いているようだ。

【辻本】世界一になるためにはどうしたらよいのかを考えていかないといけない。自社のゲームコンテンツを映像化することによって価値を高めたい。グローバル市場で、5位くらいを狙いたいですね。優先すべきは欧米で、アジアはその後ですかね。

【鵜之澤】任天堂はかつてと同じく海外に向けてつくっている訳じゃないけれど、新しいものを作り、自信を持って海外に展開する。実質、任天堂しかそんな風にできないことが問題だと思う。バンダイナムコゲームスは、得意なキャラクターとかアニメーションの武器にしたい。

【和田】ますます業界の垣根がなくなってくるでしょうね。企業体、産業自体がどうなるかということよりも、日本が世界をリードするということを考えて行かなければならない。数なのか、新しいものを生み出す技術力なのか。いずれにしても、日本として、どう頑張っていくかを考えないといけないと思う。

閉鎖されている日本の開発状況を、ネットワーク化、グローバル化していかなければならないという思いは各社共通のようだ。こんな時代だからこそ海外、国内の垣根を取り払い、優秀な開発者たち同士が学び合い、新たなモノを創り出していく強力なパワーが必要なのかもしれない。グローバル化に向けて、今後どのような取り組みをしていくのか目が離せない。

(デジタルスケープ 中路真紀)

関連リンク

CESA
スクウェア・エニックス
タイトー
カプコン
バンダイナムコゲームス
ソウルキャリバー

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